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【板橋区】「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき?」女性活躍推進計画から考える

2021年6月11日

2015年に「女性活躍推進法」が10年の時限立法として成立し、そろそろ6年となります。
 
この間に、「女性活躍」という言葉は、すっかり社会に定着したように感じます。
 
ですが、その実態はどうでしょうか。
私には、思い描いた理想のようにはなかなか行けず、まだ道半ばのように映っています。
 
最近では特に、新型コロナの影響で、活躍どころか、非正規労働で働く女性の多くの雇用が奪われている現実があります。その一方で、正社員で働く女性については、実は管理職になりたくないという実態も浮き彫りになっています。
 
本日は、板橋区が策定した「女性活躍推進計画」を考察し、これからの取り組みについて考えてみたいと思います。
 
■変わりつつある性別による役割分担の意識
 
板橋区の計画では、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」とする固定的性別役割分担意識について、意識の変化を調査し、その結果を公表しています。

調査では、平成26年に反対派が43.0%であったものが、令和元年には52.9%へと増加し、意識の面では男女ともに明らかに変わりつつあると言えます。
 
■ところが、意識の変化に社会の実態が追い付いていない
 
しかし、実際の家庭における役割分担をみると、「食事のしたく・調理」、「洗濯」や「日常の買い物」などの多くのことについて、女性が「主に自分」で行っていることが分かります。
男性が「主に自分」で行っていると女性より比率が高かったのは「収入を得る」のみでした。
「育児や子どものしつけ」についても、女性が「主に自分」で行っていること実態が見えています。
 

「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」とする固定的な性別役割分担意識は変化しつつあるのに、社会の実態は追いついておらず、意識と実態に乖離が生じているのが現実といえます。
 
この乖離を解消していく仕組みや取り組みが求めらえていることは言うまでもありません。 
 
■根強く残る「アンコンシャス・バイアス」が原因のひとつ
 
ではなぜ、意識と社会の実態にこうした乖離が生じてしまったままなのでしょうか。
 
その大きな原因の一つに「アンコンシャス・バイアス」が多くの人々の中にいまだ根強く残っていることが指摘されています。
 
「アンコンシャス・バイアス」とは、自分自身では気づいていない、ものの見方や捉え方の歪みや偏りをいいます。直訳すると、無意識の偏見と思い込みといったところですね。
男女平等参画社会を考えるときには、「女性らしさ」、「男性らしさ」、「女の子は優しくなくてはならない」、「男の子は強くなくてはならない」、「単身赴任と聞くと父親を思い浮かべる」、「育休を取得する男性は昇進意欲が低いと思う」など無意識にある刷り込みのことを意味します。
 
この「アンコンシャス・バイアス」のために、無意識のうちに固定的な性別役割分担にあった行動を良しとしてしまっていると板橋区も分析をしています。
 
■実はちゃんと考えられていた板橋区の取り組み
 
さてそこで、この「アンコンシャス・バイアス」を解消する方策が求められているとみなさんお気づきのことだと思います。板橋区の取り組みについて、見てみたいと思います。
 
まず男性は、「無意識のうちに、女性を家事や育児・介護に駆り立ててしまう行動や言動をしていないか」と注意することを心掛けるべきです。
また、固定的な性別役割分担に反対する男性は増えているので、男性が実際の行動として実践できるような具体的なノウハウや事例、心構えを提示し、スキル習得を行っていくことも大切としています。
 
板橋区では、具体的な取り組みとして、「いたばし月間パパ」、「パパと一緒にあそぼ!」、「親の一日保育士体験」などが行われています。
 
「いたばし月間パパ」は、平成30年度から毎年10月において、セミナーや情報発信などを通じて楽しく無理なく育児に関わるためのきっかけを提供しています。
令和2年度には「家事・育児の行動経済学」(竹内幹教授)のセミナーを実施したり、男性が育児に関わることのメリットなどをまとめた「いたばしパパBOOK」を発行するなどの興味深い施策が展開されていました。
 
私も今までは見よう見まねで育児に関わってきましたが、これらを見てみて少しだけ意識が変わったような気持ちになれています。
 
下記において、「いたばしパパBOOK」をダウンロードできますので、ご興味がある方はぜひ。
https://www.city.itabashi.tokyo.jp/tetsuduki/jinken/danjo/papa/1002289.html
 
■女性が一人で抱え込まない支援はさらに充実を
 
女性は気が付かずに、「アンコンシャス・バイアス」から抜け出せていないことがあります。
 
本人にそのつもりがなくても、女性は家事や育児、介護などを一人で抱え込んでしまうことが多いと言われています。一人で抱え込まないようにすることが大切です。
 
保育サービスや家事サポートサービスなどを躊躇わず活用してもらえるように、行政は具体的な選択肢や方法を示し、積極的に活用を促していくことが求められています。
 
例えば、東京都の取り組みで「ベビーシッター利用支援事業」(一時預かり利用支援)というものがあります。
 
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/hoiku/bs/index.html
 
これは日常生活上の突発的な事情で一時的に保育が必要となった場合などに、ベビーシッターを利用する場合の利用料の補助がなされる制度です。
区市町村が負担軽減を行う場合が条件となっているようで、板橋区では利用はできませんが、こうした制度の活用が板橋区でももっと進み、保護者の多様なニーズに応えてほしいと願うところです。
 
板橋区において、待機児童については令和3年当初において「36人」と減少傾向にありますが、今後は保育の質の向上をさらに図っていくことが求められます。
また、現在は区立園では赤塚保育園と向原保育園の2園でしか行われていない一時保育をさらに拡充していくことやもっと利用しやすいように制度運用を工夫していくことが大切です。空き情報がネットで見れたり、事前登録が済んでいる子どもはネットから予約が取れたりと運用面での改善はまだまだできると思っています。

板橋区議会議員田中やすのり_記事:【板橋区】「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき?」女性活躍推進計画から考える20210611

 田中やすのりについて

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【田中やすのりプロフィール】赤塚二中、成増小、成増すみれ幼稚園を経て、早稲田大学商学部を卒業。大手広告会社勤務を経て、2007年に初当選し、連続4期当選を果たし……

【何故、区議会議員に?】広告会社の業務を通じて、世の中のためになる公共的な広告コミュニケーションへの欲求を抱くようになった。より直接的に世の中を変えることができる政治……

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