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本会議 令和7年度決算に対する賛成討論(令和8年10月28日)

板橋区議会自由民主党議員団を代表して、報告第1号「令和7年度東京都板橋区一般会計歳入歳出決算」、報告第2号「令和7年度東京都板橋区国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算」、報告第3号「令和7年度東京都板橋区介護保険事業特別会計歳入歳出決算」、報告第4号「令和7年度東京都板橋区後期高齢者医療事業特別会計歳入歳出決算」及び報告第5号「令和7年度東京都板橋区東武東上線連続立体化事業特別会計歳入歳出決算」の認定につきまして、賛成の立場から討論を行います。

まず、令和7年度の区政を取り巻く環境と、決算の全体的な評価についてお話しします。

令和7年度は、板橋区基本計画2025といたばしNo.1実現プラン2025改訂版を締めくくる最終年度であり、次の基本構想・基本計画へ橋渡しをする、極めて重要な一年でありました。

そしてこの一年、区を取り巻く環境は厳しいものでした。コロナ禍後の急激な社会の変化、長引く物価高騰とエネルギー価格の上昇、地政学的リスクによる調達コストの増加、円安の継続。さらに少子高齢化はいっそう進み、公共施設の老朽化による更新需要も増えています。首都直下地震や台風・集中豪雨といった災害のリスクも高まっています。目の前の課題と中長期の課題が、同時に積み重なっていました。加えて、特別区人事委員会勧告に基づく給与改定で人件費が増え、行政運営にかかるコストそのものが上がり続けています。

こうした厳しい社会経済状況の中でも、10年に渡る基本計画はおおむね達成されました。職員の皆さんの真摯な努力を、まず評価します。

また、5回にわたって補正予算を機動的に編成し、区民生活を守るために、的確でスピード感のある財政運営をされたことも、重ねて評価いたします。

決算の概要を見ていきますと、一般会計の歳入総額は3,057億5,573万円、歳出総額は約2,891億1,664万円で、前年度と比べて歳入は8.3%、歳出は7.1%の増加となりました。

歳入では、特別区税が納税義務者数の増加などで約54億9,100万円増え、557億1,755万円となりました。特別区交付金は、原資となる固定資産税などの調整税が伸びたことで、普通交付金・特別交付金とも過去10年間で最大の交付額となり、約955億9,900万円でした。

歳出では、教育費が52億9,400万円の増加です。志村小学校・志村第四中学校の改築経費や、義務教育施設整備基金への積立金の増などによるものです。福祉費は36億6,800万円の増加で、子育て支援施策の継続・改正や、障がい者自立支援給付費の増などが主な理由です。基金の積立ては、財政調整基金が156億9,925万円、公共施設等整備基金が51億4,370万円、義務教育施設整備基金が59億5,630万円でした。

歳入歳出差引額は166億4,929万円です。ここから翌年度へ繰り越すべき財源を差し引いた実質収支は113億9,065万円です。

歳出予算の執行率は94.9%、翌年度繰越額を除いた不用額は79億3,123万円でした。前年度の96.6%から1.7ポイント低下しており、一定の成果が確認できます。

特別会計については、国民健康保険事業が約9億7,300万円、介護保険事業が約9億4,600万円、後期高齢者医療事業が約9,900万円、東武東上線連続立体化事業が約9,600万円の収支差額となっています。

国民健康保険料の収入率は前年度から1.2ポイント上がって86.8%、介護保険料の収入率も0.2ポイント改善して97.0%となり、収入を確保しようという着実な努力がうかがえます。

次に、監査委員による決算審査意見書をもとに、評価を申し述べます。意見書では、各会計の決算書と附属書類の数字はいずれも証拠書類と一致しており、誤りはなく、予算の執行と財政運営もおおむね適正であると認められています。

財政指標を見ると、財政構造の弾力性を示す経常収支比率は、前年度から2.5ポイント改善して72.3%でした。望ましいとされる70~80%の範囲内で安定しています。公債費負担比率は前年度比0.5ポイント低下の1.3%、人件費比率も0.5ポイント低下の12.6%で、いずれも良好な水準です。

一方で、実質収支比率は前年度から0.5ポイント下がったものの6.9%で、一般に望ましいとされる3~5%を上回っています。監査委員が指摘するとおり、扶助費や委託料の不用額を減らし、予算編成の精度をもっと高める必要があります。この点は真摯に受け止めなければなりません。

財政調整基金は、約59億7,400万円を取り崩した一方で、それを大きく上回る約156億9,900万円を積み立て、年度末残高は464億8,700万円になりました。基金全体の現在高も前年度末から167億円増えて1,596億円です。将来の財政需要に備えた、計画的な基金運用ができていると評価します。

ただし、物品管理の一部に適切でない取扱いがあったことは、区として重く受け止め、再発防止に努めていただきたいと思います。債権管理についても、滞納を減らし、解消していくために組織的な取り組みを強める必要があると指摘されています。収入未済や不能欠損を減らす努力を、続けていただくようお願いします。

続いて、令和7年度の主な施策の成果を、3つの重点戦略に沿って見ていきます。

最初は、SDGs戦略です。

令和7年度は「父親支援元年」と位置づけられました。従来の母親・両親学級をリニューアルしたウェルカムベビー講座を始め、父親向けの質問票によるメンタルヘルスチェックや、パパのためのこころの相談室も実施されました。

育児支援ヘルパーや産後ドゥーラの一部無料化・減額など、利用しやすくする取り組みも進みました。これまでの母親中心の支援から、父親も含めた家庭全体、さらに地域全体で子育てを支える形に、一歩踏み出したと受け止めています。医療的ケア児とその家族への支援では、医療的ケア児等コーディネーターを配置し、子ども発達支援センター内に相談窓口を設けるなど、機能を強化しました。きょうだい児のための交流会も新設されています。医療・福祉・教育が一体となって寄り添う体制をつくり、本人と家族、きょうだい児の負担を幅広く軽くしていく施策だと理解しています。

不登校の児童・生徒への支援では、教室以外の居場所を広げました。板橋フレンドセンターを活用した取り組みや、大学と連携した居場所づくりも充実しています。不登校が増える中で、早い段階から寄り添い、多様な学びの場と居場所を用意したことは、教育の機会を確保するうえで実効性が高いと考えます。

肺がん検診は、区内の各医療機関で受けられるようになり、AIによる画像解析ソフトも導入されました。いたばしPayのアプリと連動した「いたPay健幸ポイント」も活用されています。受診しやすい環境づくりとデジタルのインセンティブを組み合わせて、予防医療と健康長寿のまちづくりを後押しする取り組みだと思います。

また、AEDを24時間誰でも使える屋外への配備に切り替えたことは、区民の命を守る安心・安全の面で、大切な取り組みでした。

かわまちづくりでは、基本計画づくりが進み、新河岸陸上競技場と荒川堤防の天端を結ぶ避難通路も整備されました。水害のときの緊急の避難ルートが確保できたことになります。今後は防災機能に加えて、河川環境を生かした地域のにぎわいづくりにも、着実に進んでいくことを期待します。

防災対策では、木造住宅の耐震化への取り組みを充実させ、VRによる起震車を導入しました。不燃化・耐震化といったハード面と、VRを使った防災教育というソフト面の両方を広げ、地域の防災力を高めています。

次に、DX戦略です。

戸籍住民課では、ナビゲーション型AIの導入で、24時間365日の電話応答が可能になり、チャットボットの活用も進みました。区民事務所などでのキャッシュレス決済の拡大、Webでの口座振替受付サービスの導入、多言語通訳機器KOTOBAL(コトバル)の導入もあります。待たせない、書かせない、いつでもつながる窓口をめざして、区役所内の業務の効率化も同時に進んだと認識しています。

教育では、GIGAスクール構想をさらに進めるスマートスクールプロジェクトが動き出し、一人1台端末の更新、校務系・学習系ネットワークの統合も行われました。子どもたち一人ひとりに合った学びを確保し、教職員の働き方改革や校務のDXも前に進める取り組みでした。

タブレットがすべての民生委員・児童委員に配付されたことも挙げておきます。福祉のニーズが複雑になる中で、地域福祉の要である委員の皆さんの活動を、DXで支えるものと考えます。

地域では、地域交流アプリ「結ネット」の導入を支援し、町会・自治会の活性化をサポートしました。災害時の情報伝達や、コミュニティの基盤づくりに直結する施策だと理解しています。

3D都市モデルや人流データなどを活用した、都市計画・防災まちづくりも進んでいます。今後も客観的なデータに基づいて政策を立てていただき、都市のデジタルツイン化による高度な防災・都市再生につなげてほしいと思います。

最後に、ブランド戦略です。

「絵本のまち」という板橋ならではの文化的資産を、子育て、木育、まちづくり、シティプロモーションと幅広く掛け合わせた取り組みが行われました。板橋のブランド価値が高まり、まちへの愛着が深まることを願っています。

交通公園として親しまれている板橋公園は、再整備の工事が進んでいます。公民連携の手法で魅力ある公園になるよう、進み具合に注目が集まっています。

陸軍板橋火薬製造所跡は、近代化・産業遺産として保存・活用する、都内初の史跡公園として整備が進んでいます。BIMを使った展示などの取り組みもありました。工都だった板橋の歴史と産業遺産を、最先端の技術で次の世代に伝えていくことを期待します。

大山駅周辺、板橋駅周辺、上板橋駅南口、高島平地域では、防災力を高め、にぎわいを生み、交通結節点も強化する4つのまちづくりが同時に進んでいます。「東京で一番住みたくなるまち」への確かな足跡として、高く評価します。

これらの施策を進められたのは、堅調な特別区税収入と、特別区交付金の増収に支えられた歳入環境があったことが挙げられます。

しかしその一方で、今後は、ふるさと納税をはじめとする不合理な税制改正が続くことによる財源の流出、公共施設の更新への対応など、中長期の財政圧力がいっそう強まると予想されます。

義務的経費は約1,435億円で、歳出全体の約5割を占めています。その中でも扶助費は約1,027億円、構成比は35.5%に達しました。児童福祉、障がい者自立支援給付、生活保護など、区民の生活を守るセーフティネットとしての役割は年々重くなっており、今後も増えていく見込みです。

特別区税や特別区交付金の伸びに支えられた今の歳入環境が、この先も続く保証はなく、令和8年度の税制改正の大綱の影響も不透明であることを踏まえれば、決して楽観できる財政状況ではないと考えています。

そこで、私たち会派から、区の執行機関にいくつか要望を申し上げます。

まず、10年後、20年後を見据え、逆算して今何をすべきかという視点を、職員の皆さんがしっかり持つ必要があります。そのうえで財政規律を守り、事務事業評価とビルド・アンド・スクラップを徹底して、限られた財源を本当に効果のある施策に重点的に配分することを求めます。政策を立てる際には、区民の声を拾い上げて反映する努力を重ね、費用対効果の視点も常に意識することが大切です。

不用額と予算流用については、なぜ生じたのかをきちんと分析し、より精度の高い予算編成に努めていただきたい。

財政調整基金をはじめとする各種基金については、金利が上昇している今の情勢を好機と捉え、効果的な運用を求めます。将来の需要を見据えた計画的な積立てと、機動的な活用のバランスをとることを要望します。

歳入の確保については、新しい広告媒体の開発、ふるさと納税制度への新たな対応策の検討、公有財産の有効活用など、自主財源をさらに確保するために、工夫と試行に果敢に取り組み続けてほしいと要望します。

AIの活用については、効率化・省力化にとどまらず、対面窓口での活用など、行政サービスの質の向上につながる使い方を求めます。

さらに、多様な主体との共創を進め、限られた人的資源で最大の行政サービスを生み出せる組織へと進化することも求めます。

これらを通じて、令和8年度から始まる板橋区基本計画2035、いたばしNo.1実現プラン2028に掲げた、ウェルビーイング戦略、クリエイティブ戦略、トランスフォーメーション戦略が着実に進むことを期待しています。

なお、総括質問で私たち会派から提言・要望した「かわまちづくりの着実な推進」「時宜を捉えた基金の運用のあり方」「止水板の普及をはじめとする都市型水害の浸水対策」「中板橋駅の鉄道立体化の実現」などについては、その趣旨と質疑の内容を真摯に受け止め、今後に生かしていただくよう申し添えます。

以上述べてきたとおり、令和7年度の各会計決算は、適切な予算執行と安定した財政運営のもとで、区民福祉の向上に寄与したものと考えます。令和7年度までに築かれた土台を、新たな基本構想に描いた10年後の姿へとつなげ、「東京で一番住みやすくなるまち」板橋の実現を願い、令和7年度の一般会計決算および4つの特別会計の歳入歳出決算の認定に、あらためて賛成の意を表し、討論を終わります。


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